史上初のブラックホールの画像:ハーバード大学の天体物理学者によるQ&A
概要
ハーバード大学の天体物理学者であるマイケル・ジョンソンとアンドリュー・シャルは、55光年先にあるM87という銀河の中心にあるブラックホールの史上初の画像について、その画像が何を示しているのか、どのように撮影されたのか、そしてブラックホールについて何を教えてくれるのかについて説明しています。
目次
- ブラックホールから何が出てくるのか?
- 画像で見えているのは何か?
- 画像はどのように撮影されたのか?
- 画像はブラックホールに関する理論を裏付けるのか?
- ブラックホールに近づいたらどうなるのか?
- 自分たちの銀河の中のブラックホールを見ることはできるのか?
イントロダクション
科学者たちは、長年にわたってシミュレーション、ヒント、宇宙論的データを頼りにブラックホールを研究してきました。しかし、2019年には、M87と呼ばれる銀河の中心にあるブラックホールの史上初の画像が撮影されました。このプロジェクトに取り組んだハーバード大学の天体物理学者であるマイケル・ジョンソンとアンドリュー・シャルが、その画像が何を示しているのかについて話し合っています。
Q&A
ブラックホールから何が出てくるのか?
一般的に、重力場が強すぎるため、ブラックホールから何も出てこないと考えられていますが、実際には何かが出てきます。ブラックホールの境界である事象の地平面の周りを円形に周回していた光が、外に放り出されるのです。ただし、光子が軌道の内側にあまりにも深く入りすぎると、中に落ちてしまいます。物質が事象の地平面を越えて入ると、何も逃げることができなくなります。一方、事象の地平面の端にある物質は、ブラックホールに近づくにつれてより圧縮され、加熱されます。その物質のすべての放射は、事象の地平面を越える直前に増幅されるため、その大部分のエネルギーはブラックホールに近づくときに放出されます。そして、ブラックホールはそれを特徴的な形に歪めます。
画像で見えているのは何か?
撮影されたブラックホールの画像は、実際にはブラックホールそのものではなく、その周りの光です。この光は、強力な重力場によって外に放り出される前に、ブラックホールの周りを円形に周回していたものです。重力場が非常に強い領域では、光子が軌道を描きますが、その内側に入りすぎると中に落ちてしまいます。事象の地平面からは何も出てこないのに対し、この物質はブラックホールに近づくにつれてより熱くなり、その大部分のエネルギーは近づいたときに放出されます。
画像はどのように撮影されたのか?
M87のブラックホールは約5000万光年先にあり、通常の望遠鏡で捉えることは非常に困難です。画像を撮影するために、南極、チリ、ハワイ、スペインなど、世界中の望遠鏡が繋がれました。そのデータは視覚的に記録され、元のデータの下にある画像が再構築されました。撮影されたブラックホールの画像は、その遠さから、地球のいくつかの場所にある鏡のようなものです。科学者たちは、そのデータセットから実際に撮影された画像を復元する必要がありました。
画像はブラックホールに関する理論を裏付けるのか?
M87のブラックホールの画像は、銀河の中心部における質量の集中の強さなど、ブラックホールに関する既知の理論の多くを確認しています。しかし、重力から直接放射される光の環が見えることで、理論を確認することは驚くほどでした。明るい環の信号は普遍的であり、重力から直接発生するため、ブラックホール周辺の天体物理学を探るための新しい信号を提供しています。